『戦場のメリークリスマス』(4K修復版)『愛のコリーダ』(修復版)の大規模上映を実現 大島渚プロダクション・大島新監督インタビュー【CINEMORE ACADEMY Vol.16】
男たちの曖昧な関係性
Q:『戦メリ』は女性が一人も出てこない点でも異色作ですが、セリアズとヨノイ大尉の関係は、同性愛だと解釈されていますか。
大島:同性愛的な惹かれ方をヨノイがしたんじゃないのかな、という感じはします。でもちょっと、わからないですね。
Q:設定上も明確にされていないですか?
大島:されてないんじゃないでしょうか。でも映画の冒頭で、ジョニー大倉さん演じるカネモトがオランダ兵の捕虜に肉体関係を迫る事件を起こしますよね。あのシーンは確か原作にはないはずなんです。だからやはり、そういうモチーフは意図して散りばめているじゃないか、という気はします。
Q:セリアズとヨノイが同性愛かどうかは大きな問題でないのかもしれません。その曖昧なところも含めて大島監督の演出で、「見た人の解釈にお任せします」と。
大島:そうですね。ハラ軍曹とロレンスの関係も色々な解釈ができますよね。やっぱりハラ軍曹はロレンスのことが好きなんだけれども、捕虜になったのに自決しないのが、気に食わない。あの二人の関係は性愛というよりも、友情に近い関係性なんでしょうけど。
『戦場のメリークリスマス』(4K修復版)©大島渚プロダクション
とにかく要約しづらい映画です。それは大島渚の作品全部がそうですけど。「どうぞ見てください。それで、どうとでも解釈してください」という感じがします。