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『シュシュシュの娘』コロナでは止まらない。入江悠監督を突き動かした「インディペンデント魂」【Director’s Interview Vol.133】

『シュシュシュの娘』コロナでは止まらない。入江悠監督を突き動かした「インディペンデント魂」【Director’s Interview Vol.133】

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自主映画だったら、題材を「抑える」必要がない



Q:6月頭に出演者の募集を始め、7月に制作発表会見とクラウドファンディングの開始、9月にキャスト発表、10月にオールアップ。脚本制作・オーディション・撮影と超ハイスピードな制作でしたね。最初からこれくらいのスケジュール感を想定されていたのでしょうか?


入江:ここまでは想像していなかったのですが、一人になりたくなかった気持ちが強かったように思います。撮影現場や舞台が飛んで、「先が見えない」と不安に感じている俳優やスタッフが多かったので、早く動き出したほうがいいとは感じていました。


あとは、インフルエンザもそうですが、冬のほうが流行るじゃないですか。当時は情報も全然なかったから、自分なりに「冬に撮影がかからないほうがいいんじゃないか」と判断した部分はありますね。


Q:なるほど、合点がいきました。続いては脚本について訊かせてください。事前に「地方都市を舞台にした、鬱屈した人たちをめぐる物語」で「現在の日本の政治状況を多分に反映した脚本」と発表。同時に「漠然と温めていた企画を一気に脚本にした」と聞きましたが、核となった部分はどういうところでしょう?


入江:もともと、こういった時代の「外国人の排斥」について、いつか映画にしたいなと個人的に調べていたんです。その部分は、自然にシナリオに落とし込めました。あとは政治状況でもやもやしたものをすごく感じていたので、入れようと決めましたね。



『シュシュシュの娘』© Yu Irie & cogitoworks Ltd.


商業映画でこういった要素を入れようとすると、プロデューサーや出資者に企画を通していくプロセスがすごく大変なんです。でも自主映画だったらその必要がない。だったら書いちゃおうと思って盛り込みました。


Q:今回は、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』以来の女性主人公と伺いました。


入江:そうですね。ただあれは群像劇だから、単独主人公だと『SR サイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)以来かもしれません。いまお話しした要素を何か1本貫く芯があればと思い、女性主人公にしたんです。


自分が脚本を書くと、男性主人公だと陰の方に向かって、出口がないところでぶつかるというものが多いんです。オリジナルで書いた『ビジランテ』(17)などは、まさにそうですね。ただ今回に関しては、「この映画でミニシアターを回りたい」という想いで作っています。そして、できればミニシアターの存在を知らない人たちにも足を運んでもらいたいと考えたときに、暗いところに入っていくのではなく、どこか爽快感があるような明るい映画にしたいと思ったんです。




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