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『神在月のこども』原作・コミュニケーション監督:四戸俊成 自分が好きなことを信じてほしい【Director’s Interview Vol.140】

『神在月のこども』原作・コミュニケーション監督:四戸俊成 自分が好きなことを信じてほしい【Director’s Interview Vol.140】

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ロジックを超えたところにあるもの



Q:劇場用長編映画の制作を経験してみて、これまでのお仕事との違いや手応えはどう感じられましたか?

 

四戸:今までコミュニケーションデザインの仕事でやってきたことと、それほど大きくは変わらないと思いました。これまで僕らは伝え手として、完成したモノや作品を世の中に広げていく仕事をしてきたのですが、今回自分たちも一緒になってゼロからモノを作り上げるとなったとき、不安があったのも正直なところです。ですが実際に制作が始まると、作り手である各監督陣と膝を付き合わせて、同じ熱量でものづくりに邁進することができたと思います。


Q:映画はストーリーを作るだけではなく、その先に“心の琴線に触れさせる“という、ある意味理屈では収まらない段階まで持っていく必要があります。その辺はいかがでしたか?


四戸:広告やコミュニケーションデザインは、ロジックを積み上げて階段を上がって行く感じなのですが、上がってきた階段をそのままアウトプットしても全然面白くない。そこからいかにジャンプできるかが大事なんです。そういう意味では今回も、そこのジャンプの部分が重要で、まさに今おっしゃった“心の琴線に触れさせる“必要に迫られたわけです。


この映画の場合は、神在月や出雲の神話、各地の伝説、そして古事記をベースにお話を作らせて頂きました。そこが紐解かれてだんだんと日本への理解が深まっていく内容になっているのですが、一歩間違えると説教臭いものになりかねない。なのでそこからは、大きくジャンプする必要がでてくるんです。そこはまさに主人公のカンナが担ってくれました。現代を生きる12才の少女の目を通して気づく、今まで見えていなかったもの。そこが表現の転換点でしたね。



『神在月のこども』 (c)「神在月のこども」製作御縁会


実はここは白井さんがいてくれたことも大きいんです。僕が文でしか書けないものを彼女は絵で表現してくれるのですが、「四戸さんがここで書いているセリフは表情で表現してもいいですか?」と度々提案してきてくれたんです。僕の文章表現を、より感覚的に受けとれるビジュアル表現に昇華してくれる。そこは大きかったですね。


後から周囲の方々に聞くと、脚本家の書いたものをそうやって変えていくのは、タブーな部分があるらしく、僕と白井さんの関係性は珍しかったみたいです。でもそこの関係に「感動しました。」と言われたこともありますね。


また、白井さんは先ほど話ししたとおり、当時働いていたスタジオを離れてその先を決めていなかったので、ある意味カンナと同じような状況だったんです。カンナは自分が大好きだった“走る”ということを諦めて立ち止まっている。その分岐点に立っている少女を、同じような境遇の白井さんが描くことで、まさに自分と重ねてその気持ちをカンナにも宿していけたのだと思います。白井孝奈と言う名前にちなんで、僕らは彼女を「タカンナ」と呼んでましたね(笑)。





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