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『未来世紀 SHIBUYA』白石晃士監督 明るいディストピアSFで描いた、現在と地続きの近未来【Director’s Interview Vol.166】

『未来世紀 SHIBUYA』白石晃士監督 明るいディストピアSFで描いた、現在と地続きの近未来【Director’s Interview Vol.166】

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AIとの恋愛に拘った真意



Q:第3話は人工知能、AI と人間の恋愛がテーマでしたが、これも白石監督作としては異色ですね。


白石:AIとの恋愛の話はいい意味で一番揉めたと言うか、色々な意見が錯綜しました。プロットの段階でも内容が二転三転して、最後に俺が脚本を直す段階でだいぶ変更したので、現場的にしんどすぎるところまで行ってしまいました。打合せで「俺の言っていることを誰も理解してくれない」っていう(笑)。それをなんとか説得しようとする展開になりましたね。


でもみんなの意見で分かる部分もあったし、確かに現場的にも厳しいから、ちょっと変えた方がいいかもしれないと思い直して、皆さんに歩みよってバランスをとった結果があのストーリーです。


Hulu オリジナル「未来世紀SHIBUYA」©HJホールディングス


Q:観る人に考えさせる、まさに正統派のSFだと思いました。どんな部分に監督はこだわったのでしょうか。


白石:最初にまとまった脚本を読んだ時に、 AI のキャラクターの気持ちを描けてないんじゃないかと感じました。AIと恋愛している涼太という男の子も、本当にAIの女の子のことを好きと言えるのかって思い始めてしまい、そんな視点で脚本をリライトしていったんです。打合せをしていても、「あれ?プロデューサーも脚本家も、俺以外 AI の女の子の気持ちをわかってあげてないじゃないか」っていう風に思ってしまって(笑)。AIの気持ちをちゃんと描かないのは、言ってみれば「AI 差別」じゃないかと。


自分は人ならざるものに対する思い入れがあるので、ホラー映画でも「化け物」とか、そういうものを雑に扱っている作品にはすごく憤りを感じるんですよね。AI も映画の中で「化け物」扱いと言うか、ちょっとないがしろにされている面がある。自分もストーリーを考えていく中で「これはちょっと、ないがしろにしていたな」と気づくところがあって、そこは是正しないと、すごく差別的な内容になってしまう。そこにこだわった感じです。




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