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『未来世紀 SHIBUYA』白石晃士監督 明るいディストピアSFで描いた、現在と地続きの近未来【Director’s Interview Vol.166】

『未来世紀 SHIBUYA』白石晃士監督 明るいディストピアSFで描いた、現在と地続きの近未来【Director’s Interview Vol.166】

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撮影延期が影響したキャラクター造形



Q:リハーサルはかなり行われたのでしょうか?


白石:クランクインの前に1度だけ、2時間ぐらいでしたね。芝居の感覚をつかんでもらうために主演の金子大地君と醍醐⻁汰朗君に選んだシーンを演じてもらいました。あとは現場ですね。


Q:ということは、アドリブも相当入っていると思いますが、白石監督はアドリブはどれくらい許容されるんですか?


白石:基本的には作品を邪魔しなければ、「どんどんやってください」という気持ちです。カケルは活発なキャラクターで、 醍醐君がいろんな細かい動きで演じてくれています。あれは全部、醍醐君が考えているんです。俺から多少のリクエストはしたかも知れませんが、醍醐くんが全部考えて自発的にやっている動きです。


Q:金子さんと 醍醐さんのキャラクターがすごくハマっていて、2人の息もぴったりでしたね。


白石:この作品はコロナのせいで撮影が1年延期しているんですが、実はコロナになる前の段階では、金子君が演じるミツルのキャラクターはああいう中性的なキャラクターでは無かったんです。


最初は二人とももっと童貞感が漂う感じでした。ミツルは真面目で優しい。カケルはちょっと乱暴だけど、気持ちは純粋な男の子。恋愛が絡むエピソードでは童貞感漂う、女の子が見たらちょっと引くような要素も結構あったんです。


Hulu オリジナル「未来世紀SHIBUYA」©HJホールディングス


でも、コロナで撮影が始められない間に「何かちょっと違うような気がする」と俺が思い始めたんです。金子君は外見がすごく美しいので、そんな彼を活かすなら、中性的なキャラクターにした方がいいんじゃないかと。


そうすれば彼が恋愛について語るシーンでも、本人には経験がないのに、直感的に理解できるキャラということで、地頭の良さみたいなものも表現できるな、と。それで金子君に「こういう風にしたいんです」っていう話をしました。彼はちょっと悩んでいたみたいですけど最終的には納得してもらって、現場でも考えながら演じてくれましたね。


ああいうキャラクターはかなりバランスが難しいと思うんです。でも結果的にミツルの美しさと、カケルのやんちゃな感じとのバランスが、すごく上手くいったと思いました。


Q:カケルを演じた醍醐さんは自分からアイデアを出していくタイプだったんですね。


白石:そうですね。何も言わなくても自分で色々動く。疑問に思ったことや、大きく変えてみたいことなんかも色々相談してくれて、凄く積極的でした。撮影の終盤では醍醐君と金子君の2人で「このシーンは、こんな風にした方がいいと思うんですが」みたいな提案までしてくれて。意見を聞くと確かにその通りだと思い、セリフを直したり、流れを変えたりしました。本当に2人は積極的に参加してくれました。おかげで面白い作品になったと思います。




監督:白石晃士

『不能犯』(18)、『貞子vs伽椰子』(16)、 『ある優しき殺人者の記録』(14)、

『戦慄怪奇ファイルコワすぎ!(シリーズ)』(12~)、『オカルト』(09)  著書「フェイクドキュメンタリーの教科書」



取材・文: 稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)。



Hulu オリジナル「未来世紀SHIBUYA」 (全6 話)

2021 年11 ⽉26 ⽇(⾦)より⼀挙配信(予定)

©HJホールディングス

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