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『THE BATMAN―ザ・バットマン―』マット・リーヴス×大友啓史“同い年”監督スペシャル対談 完全版【Director's Interview Vol.194】
アクションは感情に起因しなければならない
大友:先ほどマット監督と同い年、というお話をしましたが、僕も実は97年から2年間、マット監督と同じ南カリフォルニア大学(USC)にインターンとして通っていました。
リーヴス:それはすごい! 僕は92年卒なので、ふたりとも90年代にUSCにいたんですね。
大友:そうなんです(笑)。USC時代に感じたことなのですが、ハリウッド映画のフィルムメーカーは、チャールズ・チャップリンやバスター・キートン、フランク・ロイドの時代から、コミュニケーションとしてのアクションを大切にしている。
自分自身もアクションによってキャラクターの感情をどう表すかは常々考えていますし、『THE BATMAN―ザ・バットマン―』を観て、マット監督もアクションに強いこだわりを持っていると感じました。バットマンがすごく格下の敵にやられてしまったり、アクションの中で彼の未熟さが浮き彫りになっていきますよね。マット監督が思う、アクションとキャラクターの関係性をぜひ教えてください。
『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(c)2022 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & (c)DC
リーヴス:映画におけるアクションで鍵となるのは、感情と結びついているかどうかだと僕も思っています。スタント・コーディネーターのロブ・アロンゾにも「感情的なつながりがなければいけない」と話しました。
例えばバットマンが闇の中から現れるシーンの終盤では、アクションを通じて彼が自分を解き放つような表現をしたいと思っていました。観客にも、バットマンのこの行為は、個人的な復讐心から来ているのだと理解してもらいたかったのです。つまり、作品全体がそうであるように、アクションもまたパーソナルなものではなくてはならなかった。何故なら、バットマンは物事を正そうとしているつもりだけれど、その実、父母が殺された復讐を求めているのですから。
しかし、過去は変えられないため、その復讐が果たされることは永遠にない。ですがバットマンは、犯罪者を威嚇し、攻撃し、復讐することで、もしかしたら子どもだった自分ができなかったことを果たせるかもしれないという考えに突き動かされています。