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『バブル』監督:荒木哲郎×音楽:澤野弘之、両者の絆が生み出す相乗効果【Director's Interview Vol.204】

『バブル』監督:荒木哲郎×音楽:澤野弘之、両者の絆が生み出す相乗効果【Director's Interview Vol.204】

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『カバネリ』『進撃の巨人』では生まれなかったダンスシーン



Q:『バブル』の楽曲の制作期間はどれくらいだったのでしょう?


澤野:作ったものをガッとまとめたら実際は1〜2カ月なのですが、2年前くらいから動いてはいました。


今回の僕の作業としては、最初に荒木さんと作品の大まかな話をしてからイメージアルバムのような感じで「ヒビキのテーマ」といったようなものを10曲くらい作るところからスタートしました。その後に映画本編に添った音楽メニュー表を1回出していただいて、「この曲はイメージアルバムだとこれに該当しますね」といった話をしながら、新たに必要になった曲を作りました。そして、最終的に画とタイミングを合わせるための調整段階で作編曲家のKOHTA YAMAMOTOくんに入ってもらい、場面場面で調整してもらったり、必要に応じてアレンジを入れてもらう形で進めていきましたね。


荒木:シナリオからイメージアルバムを作るアプローチは、久石譲さん×ジブリ作品もそうですね。まずこちらがシナリオを作り、イメージアルバムをもらってから絵コンテ作業をしていくと、先ほどお話しした「全部の頂点を持ってくる」もできますし、音楽が醸し出すものに乗っかってシーン自体も色づいていきました。



『バブル』(C)2022「バブル」製作委員会


浮島でヒビキとウタがダンスをするシーンは、音楽から見えるものに素直に従いましたね。シナリオでは「ヒビキとウタが楽しそうに踊る」としか書かれていないのですが、音楽がインスピレーションを与えてくれました。本当にうまくいって、この映画で俺が作るべきシーンはこれだったんだ!と手ごたえがありましたね。『進撃の巨人』や『甲鉄城のカバネリ』では出来なかった、この作品でなければ生まれなかったシーンだと思います。


Q:先ほどの「今回は出来事が小さい」というお話にも通じますが、巨人やカバネにいつ襲われるか、といった命の危険が今回はないですもんね。


荒木:そうそう。そういう状況の作品だからこそ生まれたシーンですよね。もしこれが敵を殺すタイプの作品だったら、やっぱりその場面がクライマックスになると思います。ふたりで協力プレイして化物を倒す場面になるのですが、今回は違う。アクションではあるけど、ラブが絡んでいるんです。“ラブパルクール”が、他の作品にはない『バブル』のユニークポイントだと思います。自分で観ていても、「このバランスは初めて観た」と感じました。




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