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劇場版『スター・トレック』を生んだ特撮スタッフの奮闘と彼らが残したもの 後編

(c)Photofest / Getty Images

劇場版『スター・トレック』を生んだ特撮スタッフの奮闘と彼らが残したもの 後編

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完成作品の公開と評価



 こうしてトランブルとダイクストラたちは、『スター・トレック』の視覚効果をリミットギリギリで完成させ、パラマウントは試写をする時間もないまま、1979年12月に封切った。作業終了後にトランブルは、潰瘍や食道裂孔ヘルニアなどで1~2週間の入院となってしまったという。退院後に彼は、予定通りFGCを閉鎖して代わりに子会社のEEGを存続させた。


 興行成績は8,260万ドルと悪くはないが、3,500万ドルという製作費との割り合いを考えると、1億ドルは超えていないとヒット作とは言えない。また批評的にも芳しくなく、テンポの悪さを指摘する声が多かった。特に、宇宙空間に浮かぶドライドッグのシーンは、視覚効果的には良く出来ているが、5分間もあって明らかに長すぎる。また、主要キャストの登場シーンに時間をたっぷり取る割には、各キャラクターの背景が分かりにくい。この辺りは、テレビシリーズ『宇宙大作戦』(66~69)のファンと、それを観ていなかった層の間で評価が分かれる点である。


『スター・トレック 宇宙大作戦』予告


 さらに「戦闘シーンや格闘シーンなどの、ハデなアクション描写がない」「映画のほとんどが、ヴィジャー内部を延々と観光しているようなゆったりした雰囲気で、人類が滅亡するかもしれないという緊張感が不足している」「視覚効果がメインで人間が描けていない」などの批判もあった。



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