アイアンマンがMCUの1作目になった理由
スター・ウォーズ・シリーズ最初の1作目。『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』(77)大ヒットの中で、20世紀フォックス(当時)が犯した最大の失敗は、ヒットの成功報酬の代わりに、おもちゃやグッズなどマーチャンダイジングの権利を、ジョージ・ルーカスに譲ってしまったことだろう。
当時の20世紀フォックス幹部はおもちゃなどの権利料金が、提示した成功報酬よりも安いと見積もって譲ったワケだが、結果として、スター・ウォーズシリーズ(エピソード1〜6)の興行収入とビデオやDVDなどソフト売上を合わせた額より多い収入を、ルーカスは独り占めにすることになった。この失敗はもちろん業界内に響き渡り、映画業界でマーチャンダイジングは最優先事項となり、もちろん制作の現場にも影響を及ぼした。
『アイアンマン』(c) 2008 MVL Film Finance. All Rights Reserved.
マーベル・スタジオの設立者のアヴィ・アラドは、1990年代初頭におもちゃ会社トイビズのCEOだったこともあり、おもちゃ(アクションフィギュア等)売り上げの重要度は充分に理解していた。そもそも、マーベルが破産しトイビズが吸収する形で合併しマーベル・エンタープライズとして立て直した経緯もあった。90年代のマーベルと言えば、人気アーティスト、ジム・リーによる「X-MEN」コミックが800万部以上の売り上げを記録するほど人気があったが、それでも尚、おもちゃ会社に合併されたのである。
MCU計画で最初に作られる作品がアイアンマンに決まったのは、アベンジャーズのおもちゃの中で、子供の食いつきが一番良かったのがアイアンマンだったという、シンプルかつ強力な理由である。