1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. アイアンマン
  4. 『アイアンマン』が、MCU計画第1弾である理由とは
『アイアンマン』が、MCU計画第1弾である理由とは

『アイアンマン』が、MCU計画第1弾である理由とは

PAGES


帰ってきた男



 監督に就任したジョン・ファブローは、トニー・スターク役にロバート・ダウニー・Jrを推薦する。


 映画監督の父と女優の母の間に生まれた芸能一家のサラブレットとして子役デビューし、80年代には青春スターとして確かな演技力で「現代的な若者」をたくみに演じ好評を得る。その後、喜劇王チャールズ・チャップリンの半生を描いた『チャーリー』(92)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされると「演技派」として存在感を発揮していく。しかし、同時に薬物に手を出してしまう。そもそも幼い頃から父親にマリファナを与えられ、以降常用していたのが1996年の最初の逮捕で顕在化した形だ。


 逮捕され、その都度現場復帰をするも、また逮捕。その繰り返し。人気テレビドラマシリーズ「アリーmy Love」出演中の2001年にコカイン所持で逮捕されると、とうとう3年間の保護観察処分を受けてしまう。この処分で本格的なリハビリを開始し、翌年の2002年には「クリーン」との診断を受け、保護観察処分を終える。薬とキッパリ縁を切った後は、作家主義的な小品を中心に新たなキャリアを重ねていた。『アイアンマン』トニー・スタークの出演を推薦されたのはそんなタイミングであった。




 ちなみに、ドラッグと手を切る決断をしたきっかけは、好きだったチーズバーガーを頬張った瞬間に、薬の副作用でマズく感じ吐き出してしまったことから、だそうだ。『アイアンマン』劇中で囚われの身から解放されて帰国後最初にチーズバーガーを要求するのは、メソッド・アクティング的なアプローチだったのが解る。


 マーベル・スタジオ側は当初、ロバート・ダウニー・Jrの麻薬がらみの経歴に難色を示したが、スクリーン・テストでの見事な演技はさすがに無下にはできず。ジョン・ファブローが強く推し続けたこともあり、晴れてトニー・スタークに就任する。


 そして、ジョン・ファブローがそこまで推したのは、ロバート・ダウニー・Jrがトニースタークそのものだったからだ。芸能一家に生まれ、才能もあり、活躍するもドラッグで身をやつし、しかし立ち直って、再び脚光を浴びているロバート・ダウニー・Jr。アメリカ軍おかかえの兵器製造会社の息子に生まれ、エンジニアとして天才的な才能を発揮するも、誘拐され、重傷を負い、その上自分の富が多くの死の上になりたっている事実に直面し、アイアンマンとして帰ってくるトニー・スターク。ロバート・ダウニー・Jrの経歴はトニー・スタークほど劇的ではないにしろ、重なる部分が多いことが解るだろう。




 さて。「アイアンマン」といえばハードロック/ヘビーメタル好きにとってはブラック・サバスの名曲だが、映画『アイアンマン』でオープニングを飾るのは別のハードロックバンド、AC/DCの「バック・イン・ブラック」である。


  “闇夜に帰ってベッドに倒れこむ。オレを苦しめた軛からようやく解放された。これから好き放題してやるぜ。オレは帰ってきたんだ!”


 改めて聴くと、歌詞はもちろん、軽快なリズムと重い音のリフ、高音シャウトも含め、映画『アイアンマン』のために創られたかのように聴こえてくる。



 一方、ブラック・サバスの「アイアンマン」はインスト曲にアレンジされ映画のエンドロールに使用されているが、重くうねるような楽曲は映画やキャラクターに合わない、という判断が下されたのであろう。続く『アイアンマン2』(10)でもAC/DCが重用され『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』(19)ではトニー・スタークの象徴として「バック・イン・ブラック」が使用されている。


 この「バック・イン・ブラック」が表わすように、アイアンマン/トニー・スタークとは「帰ってきた男」なのである。



PAGES

この記事をシェア

  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. アイアンマン
  4. 『アイアンマン』が、MCU計画第1弾である理由とは