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『アイアンマン』が、MCU計画第1弾である理由とは

『アイアンマン』が、MCU計画第1弾である理由とは


大人になれない男



 最初の作品がアイアンマンに決まれば、次は作品を牽引する監督の選定だ。ケヴィン・ファイギは数名いた監督候補の中からジョン・ファブローを抜擢する。


 スタンダップ・コメディアンを目指していた自身の経験を元にした脚本を、『ボーン・アイデンティティー』(02)のダグ・リーマンが監督した『スウィンガーズ』(96)が、批評家を中心に人気を呼び、出演もしたジョン・ファブローは一躍脚光を浴びる。以降、俳優として様々な作品に出演しつつ、監督業へ進出していく。


 アイアンマンの監督として決め手になったのは、クリスマス・ファンタジーの『エルフ 〜サンタの国からやってきた〜 』(03)と、『ジュマンジ』(95)の続編的な作品で、子供たちが宇宙を舞台にしたボードゲームの世界に入ってしまう『ザスーラ』(05)の2作であろう。



 アイアンマンはどうしたって大部分をCGに頼らざるをえないことは自明であった。その前提で、どこまでをCGで表現し、どこまでを実際の撮影で済ますのか。撮影監督、照明、特殊効果チーム、CGチームなどと調整を行い、イメージを伝え共有するのは監督の仕事であり、その仕事ぶりこそが作品の出来栄えを大きく左右する。


 また、4レター・ワード/カース・ワードを連呼させたり、爆殺されたバラバラ死体を描写するような、作品に不必要なこだわりを発揮しない「物わかりの良さ」も重要であった。子供向けでCGを多用した『エルフ 〜サンタの国からやってきた〜 』と『ザスーラ』は、その2点において、充分な成果を上げていた。そして何より、この2作に共通する「大人の姿をした子供」の演出力こそアイアンマンの監督としての最も重要な資質であった。


 『エルフ 〜サンタの国からやってきた〜 』はサンタクロースの国に紛れ込んだ人間の赤ん坊がエルフとして育てられ、オッサンになってから人間の世界へ戻る、というもので、ウィル・フェレルの怪演で純真無垢なオッサンという異様な様子が笑いを誘う作品である。『ザスーラ』では、家ごと宇宙に放り出されてもなおケンカの絶えない幼い兄弟を、奇妙ないきさつで大人の姿になってしまった子供が諌めるという展開を見せる。




 アイアンマンのトニー・スタークは子供の頃から「神童」として類稀な才能を発揮し、若くして両親を無くすと父親の会社を継ぎ、莫大な遺産を手にする。酒や夜遊びに惚けまくっていても、仕事となると天才的な頭脳で兵器を生み出す。しかし、その天才さ故に、ついて来れない周囲の人々を見下す傲慢さも持っている。


 酒を呑み、女性関係も派手で、傲慢。と、どれを取っても立派なイヤミなオッサンそのものだが、飲酒は現実と向き合えない逃避行動だし、夜遊びや女遊びと言えば聞こえはイイが大人になってもマトモな人間関係の構築が出来ない証拠でもある。傲慢さは他者の存在と尊厳を理解できない子供特有のものだ。


 映画『アイアンマン』のトニー・スタークは「大人の姿をした子供」としてキャラクター造形がされ、その成長を物語の軸にすることが、ジョン・ファブローの起用によって見えてくるのである。



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