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『惑星ソラリス』原作者との見解の違いをも乗り越え、SF映画の傑作たらしめる理由とは

(c)Photofest / Getty Images

『惑星ソラリス』原作者との見解の違いをも乗り越え、SF映画の傑作たらしめる理由とは

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※本記事は物語の核心に触れているため、映画未見の方はご注意ください。


『惑星ソラリス』あらすじ

謎めいた力を持つ、海と雲に覆われた惑星ソラリス。探査中の宇宙ステーションとの通信が途切れたことで、心理学者のケルヴィンが調査に赴く。到着したステーションは廃墟のように閑散としていた。物理学者ギバリャンは謎の自殺を遂げ、残った2人の科学者も何者かに怯えている。そしてケルヴィンの前に自殺したはずの妻ハリーが現れる…。


Index


キューブリックとタルコフスキー



 アメリカとソビエトが熾烈な宇宙開発競争を繰り広げていた時代の後期、SF映画でもまた、両国の最高の才能が、これまでの限界を引き上げる作品を生み出した。それが、アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』(68)と、スタニスワフ・レム原作、アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』(72)である。


 ポーランドの作家スタニスワフ・レムによって書かれた「ソラリス(ソラリスの陽のもとに)」 は、20世紀のSF小説を代表するほどに評価されている名作。『2001年宇宙の旅』を意識していたと思われる、ソビエトの巨匠タルコフスキー監督が手がける価値があるのは、やはりこの題材しかなかったと考えられる。


『惑星ソラリス』予告


 近年、原作と映像化作品との表現の方向性の違いによる確執が取り沙汰されることが多くなっているが、本作『惑星ソラリス』もまた、原作小説を改変した映画版が、原作者レムの手厳しい批判にさらされた一作でもある。にもかかわらず、本作は映画史的にも大きな価値を持ったタイトルとして評価されることとなった。このような稀有な事態が、なぜ起こったのだろうか。ここでは、そんな本作の内容を振り返りながら、その謎に迫っていくと共に、現代の目から見た『惑星ソラリス』の魅力についても、あらためて考えていきたい。





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