© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』技術革新を牽引したキャメロンが描く“家族の物語”(後編)
2025.12.24
実写の世界でもDeep Compositingが活躍
非常に面白いのが、囚われたジェイクが基地で晒し者にされるシーンだ。ここではRDAの職員や軍人たちが、スマホで動画を撮影しまくる現代人のように、一斉にカメラを構えている。その画面は透明スクリーンとなっており、ホログラフィの立体映像として表現されている。
またRDAの基地の内部や、ナヴィに友好的な人類の研究拠点ハイキャンプでも、随所にホログラフィ映像が合成されており、それぞれに異なる3Dのモニターグラフィックスが表示されている。これらのレイヤーの数を考えると、まったく気が遠くなりそうだが、これを可能にしたのもDeep Compositingがあったからだ。
今後の展開
『アバター』は『FaA』で三部作として見事に完結しているが、キャメロン本人は五部作を考えているようだ。次の舞台は、以前からアナウンスされているように、パンドラの極地や砂漠地方かもしれないし、「5作目は地球が舞台かも?」というコメントもしている。また樹木、水、炎と来たら、古代インドの五大元素か中国の五行が関係しているかもしれない。
なおキャメロンは、今回の『FaA』に生成AIは使用していないと強く断言している。しかし彼は、その可能性を完全に否定しているわけではない。彼は2024年に生成AI企業Stability AIの役員に就任しているのだ。さらに同社は、元Weta Digital CEOのプレム・アッカラジュをCEOに招き、チーフ・パイプライン・アーキテクトには『タイタニック』(97)や『アバター』でVFXスーパーバイザーを務めたロバート・レガートが就任している。
キャメロンは、80年代後半のハリウッドで嫌われていたCGを、『ターミネーター2』(91)の成功で一気に必需品にさせ、また映画業界でほぼ忘れられていた3D技術を表舞台に立たせた。だから生成AIに関しても、誰も思いもよらぬ使い方で我々を驚かせてくれるかもしれないし、それが『アバター』シリーズの新たな発展に繋がる可能性も考えられる。
1980年より日本エフェクトセンターのオプチカル合成技師。1982年に日本初のCGプロダクションJCGLのディレクター。EXPO'90富士通パビリオンのIMAXドーム3D映像『ユニバース2~太陽の響~』のヘッドデザイナーなどを経て、フリーの映像クリエーター。NHKスペシャル『生命・40億年はるかな旅』(94)でエミー賞受賞。VFX、CG、3D映画、アートアニメ、展示映像などを専門とする映像ジャーナリストでもあり、映画雑誌、劇場パンフ、WEBなどに多数寄稿。プロ向け機関紙「映画テレビ技術」で長期連載中。東京藝大大学院アニメーション専攻、女子美術大学専攻科、日本電子専門学校などで非常勤講師。先進映像協会 ルミエール・ジャパン・アワード審査員。主要著書として、「3D世紀 -驚異! 立体映画の100年と映像新世紀-」ボーンデジタル、「裸眼3Dグラフィクス」朝倉書店、「コンピュータ・グラフィックスの歴史 3DCGというイマジネーション」フィルムアート社
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』を今すぐ予約する↓
『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』
大ヒット上映中
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.