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『地球爆破作戦』70年代で予言されていた、AIによる“シンギュラリティの悪夢” (後編) ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『地球爆破作戦』70年代で予言されていた、AIによる“シンギュラリティの悪夢” (後編) ※注!ネタバレ含みます

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コロッサス管制センターの撮影



 特徴的なコロッサス管制センターの外観は、NORADでロケすることが望まれたが、撮影許可が下りなかった。そこで、68年に開館したばかりのローレンス科学館(*7)が選ばれる。ここはカリフォルニア大学が管理する施設で、バークレー校のキャンパスを見下ろす丘陵地帯に位置し、現在も一般公開されている。


 管制センターの内部は、ユニバーサルのスタジオ内で撮影されている。ホワイトハウスと、テレビ電話を通じて会話する場面が多いため、2つのセットは隣り合うように作られ、ビデオカメラとモニターで実際に通話しながら同時に演技ができた。


 なお、この管制センター(及びコロッサス本体)のセットには、本物の大型コンピューターが使用されている。これを提供したのは、「スーパーコンピューターの父」と称される天才設計者シーモア・クレイが所属していたCDCで、同社はPR効果を期待してメインフレームコンピューターCDC 3000シリーズの本体の他、テープドライブや周辺機器などを多数提供した。


 これらの機材は、当時の金額で480万ドル相当(現在の貨幣価値では約4,000万ドル規模)に上り、ユニバーサルはサウンドステージの大幅な改修を余儀なくされた。特に湿気を嫌うため、7台のガスヒーターと5台の除湿機がフル稼働し、空調システムが常に湿度を一定に保つよう調整された。警備員は夜間でもセットに常駐し、撮影中以外は必ず機器にカバーが掛けられ、スタッフは近くで喫煙や飲食をすることすら許されなかった。


 しかし、CDC 3000シリーズのデザインはシンプルで、観客が未来的だと直感できる雰囲気に欠ける。そこで、天井に設置された電光掲示板式ディスプレイなど、映画オリジナルの機器を制作する必要があったが、デザインして仕上げるまでの期間は、わずか1カ月しかない。美術監督のジョン・ロイドは、クランクインまでに空間を埋めるためのプロップを、大急ぎで必要とした。


 そこで、販売終了で放出されていたIBM 1620を多数購入し、フロントパネルを管制センターの目立つ所にマウントしている。また、同シリーズのコンソール・タイプライター(*8)や、ラインプリンター、X-Yプロッター、ニキシー管のカウンター、紙テープ式の入出力装置など、かなり旧式の機械も組み合わされており、コンピューターに詳しい人が見ると、かなり違和感があった。


*7 ジョージ・ルーカス監督の『THX-1138』(71)のロケ地でもある。


*8 CRTディスプレイとキーボードが一体化した「ビデオ表示端末」が登場する前は、タイプライターに通信機能を搭載した機器でコンピューターへの入力を行っていた。これをコンソール(制御卓)タイプライターと呼ぶ。





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