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『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』原作から最新作『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』まで「スコット・ピルグリム」の歴史大解説 ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』原作から最新作『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』まで「スコット・ピルグリム」の歴史大解説 ※注!ネタバレ含みます

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錚々たるキャストたち



 本作は後に大スターとなる役者たちが数多く出演していることでも有名だ。まず、主役のスコット・ピルグリムを演じるのはマイケル・セラ。最近では『バービー』(23)のアラン役が記憶に新しいが、当時は『JUNO/ジュノ』(07)と『スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07)が立て続けにヒットしたことにより、一躍若手スターの仲間入りを果たした頃だった。エドガー・ライトは彼の最初の出世作であるホームコメディドラマ「ブル〜ス一家は大暴走!」(03〜19)が大好きでずっと目をつけていたそうだ。カナダ人で体型も痩せ型、コメディ俳優としてもキャリアがあり、さらにギターも演奏できる。マイケル・セラはスコットにうってつけの役者であり、監督もマイケル・セラしかいないと思っていた(その時期に『無ケーカクの命中男/ノックト・アップ』がヒットしたこともあり、ユニバーサル側からスコット役にセス・ローゲンの提案もあった)。


 ヒロインのラモーナ・フラワーズを演じるのはメアリー・エリザベス・ウィンステッド。近年では『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』(20)「アソーカ」(23)など有名フランチャイズ・シリーズに顔を出している印象のある彼女だが、(『ダイ・ハード4.0』の娘役という例外はありつつも)当時はホラー映画やDVDスルーの映画などに出演している駆け出しの役者だった。だがエドガー・ライトは、撮影が始まる2年も前から彼女がラモーナを演じることを考えていたそう。というのも、当時クエンティン・タランティーノの『デス・プルーフ』(07)に出演していたことから、タランティーノのグループとの交流を持っていた彼女。その時期にエドガー・ライトはタランティーノのゲストハウスに居候しており、これがきっかけで声をかけた経由がある。決め手の1つになったのがウィンステッドの目と原作のラモーナの目が似ていたこと。セラとウィンステッド、まずこの2人が最初にキャスティングされた。


 その他多くの役者のキャスティングは、脚本家組合のストライキにより脚本の執筆活動ができなくなったタイミングでスタートした。このオーディションにはのちに有名になる役者たちがこぞって参加していたそうで、ルーニー・マーラやベティ・ギルピン、ゾーイ・カザン、さらにはロバート・パティンソンも参加していた。そうして選出されたキャストたちは、今の視点からだと錚々たるメンバーが顔を揃えている。まず最初は、邪悪な元カレの1人であるルーカス・リー演じるクリス・エヴァンスに触れないわけにはいかないだろう。本作の1年後に公開された『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(11)によって世界に名を轟かすことになる彼だが、本作ではキャプテン・アメリカとは真逆の、邪悪で傲慢なマッチョ男を嬉々として演じている。そしてMCU繋がりでは、キャプテン・マーベルでお馴染みのブリー・ラーソンが、スコットの元カノであるエンヴィー役で出演している。のちに『ルーム』(15)でオスカーを獲得する演技力は当時からすでに健在で、監督曰く、たくさんの候補者たちがオーディションに参加していたが、ブリー・ラーソンが他を圧倒していたそうだ。元々音楽活動もしていたブリー・ラーソンは、その経験を生かして劇中歌まで披露、出番こそ少ないものの強烈な印象を残している。



『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』(c)Photofest / Getty Images


 邪悪な元カレ軍団のリーダーであるギデオンを演じたのはジェイソン・シュワルツマン。ウェス・アンダーソンの常連である彼は、今作のメインキャストの中では最高齢だったが、若手に負けじと、恐らく彼のキャリア史上、最初で最後のキレキレのアクションを披露している。また、スコット周辺のキャラクターでは、スコットの妹ステイシー・ピルグリム役で『ピッチ・パーフェクト』シリーズ(12〜17)や『イントゥ・ザ・ウッズ』(14)のアナ・ケンドリックが出演。さらにスコットのルームメイトであるウォレスを演じるのは、その後、ドラマ「メディア王 〜華麗なる一族〜」(18〜23)のローマン・ロイ役で何度もエミー賞やゴールデン・グローブ賞の候補になるキーラン・カルキンだ。さらに、日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、ステイシーと同じコーヒーショップで働いているジュリー・パワーズを演じるオーブリー・プラザもまた、のちに大成功を収めた俳優だ。「レギオン」(17~19)「ホワイト・ロータス/諸事情だらけのリゾート」(21〜)などのドラマに出演しつつ、『イングリット ネットストーカーの女』(17)『Emily the Criminal』(22)など主演とプロデュースを務めた映画を製作し、さらに児童書の執筆などマルチな活躍を見せ、MCUのドラマ「アガサ:ダークホールド・ダイアリーズ」の出演も決まっている。


 その他にも『スーパーマン・リターンズ』(06)のスーパーマン役で有名なブランドン・ラウスや、『ヘイル・シーザー』(16)や『バイス』(18)、ドラマでは「スタートレック:ピカード」(18〜23)など幅広い作品に出ることになるアリソン・ピル、さらにノンクレジットだが2代目「パニッシャー」のトーマス・ジェーンがチョイ役で出演し、コメディアンのビル・ヘイダーが劇中のナレーターとして登場している。




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