1. CINEMORE(シネモア)
  2. NEWS/特集
  3. 大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。
大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。

PAGES




第4位:『ワイルド・スピード』(01)  監督:ロブ・コーエン 107分


“ファミリーの絆”の原点となった記念すべき第一作


コレなくしてはシリーズ全体も存在しなかった原点となる一作目。繰り返し言われていることだが、ストーリー自体はカリスマサーファーが率いる強盗団にFBI捜査官が潜入するキアヌ・リーヴス主演作『ハートブルー』(91)の亜流。サーフィンがストリートカーレースに替わったものの、ほとんど同じプロットであることは否定できないが、最初のアイデアを出したのは、ブライアン役のポール・ウォーカーだったという。


当時のウォーカーはイケメン俳優として売出し中で、監督のロブ・コーエンと製作のニール・H・モリッツとは『ザ・スカルズ/髑髏の誓い』(00)で仕事をしたばかりだった。コーエンとモリッツはウォーカーに「次には何をしたい?」と訊ね、ウォーカーがかねてから考えていた、カーアクション映画『デイズ・オブ・サンダー』(90)と潜入捜査映画『フェイク』(97)のハイブリッドというアイデアを提案したのだという。


ただし、ウォーカーにはエンタメ大作の看板をひとりで背負うプレッシャーが大きく、カリスマ性のある共演者を用意して安心してもらおうと起用されたのがヴィン・ディーゼルだった。またミア・トレット役のジョーダナ・ブリュースターは1998年の『パラサイト』でデビューした新進女優、ミシェル・ロドリゲスは2000年のインディー映画『ガールファイト』で文字通り無名の素人から発見されたばかりの原石状態。いずれにせよ、ネームバリューのあるビッグスターは皆無で、まだ未来はこれからという若者たちをキャスティングしたフレッシュな船出だったといえる。


本作が結果的に『ハートブルー』の亜流以上のものになったのは、ラテン系コミュニティが持つ家族的な絆を扱ったことも大きかった。ウォーカー演じるブライアンこそ金髪碧眼の二枚目という当時でさえ古風なビジュアルの主人公だが、ディーゼル、ブリュースター、ロドリゲスらラテン系キャストが象徴していたのはハリウッドで顧みられることの少なかったマイノリティの存在であり、世界各地で新たなファン層を開拓する上でも非常に効果的だった。


マイノリティ同士の結束というモチーフは、本シリーズを構成する大きな要素のひとつになっていく。ただし、一作目の時点では製作陣のスタンスはまだあやふやで、そこに激しく噛み付いたのがレティ役のロドリゲスだった。ロドリゲスは初めてのハリウッド大作の出演だったにも関わらず、脚本に不満を持ち、修正されないなら出演しないと主張したのだ。


当初の脚本には、レティがドミニクの恋人でありながらブライアンにも惹かれてしまう三角関係的な展開が用意されていたという。しかしロドリゲスはラテン系の文化や価値観を踏まえて「最高オブ最高の男性がいるのに白人のイケメンと浮気するなんてありえない!」と主張したのだ。ロドリゲスは「どうか訴えないでほしい、でも、何百万人が観る前でこんなことはできません」と泣いたと回想している。まだ新人だった彼女の必死の想いが、「ワイスピ」シリーズに欠かせない“魂”をもたらしたといえるかも知れない。





PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. NEWS/特集
  3. 大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。