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大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。
第3位:『ワイルド・スピードEURO MISSION』(13) 監督:ジャスティン・リン 131分
ラストのクリフハンガーで最強の敵を投入した充実作!
4~6作目が「レティの不在」三部作とするならば、その最後を飾ったのが『EURO MISSION』。死んだと思われていたレティが実は生きていて、犯罪集団の一員になっていることを知ったドミニクと仲間たちが、記憶喪失に陥っているレティを奪還するためにヨーロッパに乗り込む。
本作では、前作『MEGA MAX』で上がりまくったハードルを超えるべく、カーチェイスが売りの犯罪アクションというそれまでの大看板から方向転換を図っている。カーチェイスがメインディッシュではあるものの、「007」や「ミッション:インポッシブル」シリーズに近いオールラウンドなアクション超大作へと舵を切った。
特に強化されたのが格闘アクションで、ホブスの部下ライリー役に『エージェント・マロリー』(12)に主演した総合格闘技出身のジーナ・カラーノ、敵のオーウェン・ショウ(ルーク・エヴァンズ)の配下に元インドネシア代表の柔道選手で『ザ・レイド』(11)でSWAT隊の隊長を演じたジョー・タスリムを配するなど、飛び抜けた身体能力を持つ“本物”をキャスティング。併せてレギュラー陣も激しいスタントに挑戦するようになり、ミシェル・ロドリゲスとジーナ・カラーノの絞め技バトルや、ハンとローマンが二人がかりでもまったく敵わないジャー(タスリム)の圧倒的な強さなど、敵味方問わず登場人物の多くに見せ場が用意されているのもいい。
また、前述した高速道路でのドミニクのダイブや、ハンを信頼して愛しているからこそのジゼルの捨て身な戦い方など、エモーショナルな感動要素とアクションとが密接に結びついているのが素晴らしい。
そして、『MAX』以降続いていたハンの「次は東京に行く行く詐欺」についに終止符が打たれたことは、ファンの胸をかきむしる展開だった。『TOKYO DRIFT』でも書いたが、ハンは渋谷のスクランブル交差点付近でカークラッシュして絶命している(『ジェットブレイク』の掌返しはさておく)。つまり『MAX』『MEGA MAX』『EURO MISSION』は、時系列で言えば『TOKYO DRIFT』より前のお話であり、ハンが本当に東京に行ってしまう以上、明らかに死の運命が待ち受けていることを思い知らされるのだ。
『EURO MISSION』のラストで愛するジゼルを失ったハンは、ひとり東京へと向かい、クラッシュ事故で亡くなってしまう。しかも事故を引き起こしたのは、実はチーム・トレットに恨みを抱くデッカード・ショウ(ステイサム)だったという衝撃の事実が明かされて幕となる。何度も満腹になるようなカロリーの高いクライマックスをいくつも作っておいて、最後の最後に「すぐに続きを見せてくれ!」と叫ばせてしまう、シリーズでも屈指のクリフハンガーであった。