(c)Photofest / Getty Images
大ヒットシリーズ『ワイルド・スピード』全11作品を勝手にランキング!最新版 サーガはいよいよクライマックスに! ※注!ネタバレ含みます。
第2位:『ワイルド・スピードSKY MISSION』(15) 監督:ジェームズ・ワン 140分
感涙必至、ポール・ウォーカー=ブライアンへの最高のさよなら
シリーズ復活の重要人物だったジャスティン・リンが離脱し、ホラー畑で知られたジェームズ・ワンが監督に就任した7作目。非常に人気の高い作品だが、演出面には少々不満がある。アクションの規模はますます大きくなったが、ビジュアル的な面白さが主となり、ジャスティン・リン時代のアクションの頂点とエモーショナルなカタルシスがピタリとシンクロする快楽は減じてしまったと感じるからだ。
とはいえアクションシーンはどれも非常によくできている。前作のジーナ・カラーノやジョー・タスリムに続いて、今回は『マッハ!!!!!!!!』のムエタイ達人トニー・ジャーを投入。キャスト陣の“ハゲ”度が増すにつれて目立たないイケメンと化していたブライアンにも身体を張った超絶アクションが用意されており、ブライアン復権の狼煙を感じるだけに、ポール・ウォーカーの突然の事故死を呑み込むのは今でも難しい。
全体的にコメディ色が強まっており、ついに本格的に牙を向いて襲ってくるデッカード・ショウが「ワイスピ」では珍しい愛嬌のある敵キャラとして機能しているのは、ジェイソン・ステイサムの持ち味のおかげでもある。ロック様がプロレスラー時代の必殺技「ロックボトム」まで繰り出すホスブVSデッカードの対決シーンは、もはや「ワイスピ」の枠を超えた異種格闘技戦。この時点で『スーパーコンボ』が生まれる未来は約束されていたのかも知れない。
そして『SKY MISSION』を語らずにはいられないのが、撮影中に亡くなってしまったポール・ウォーカーに別れを告げるあまりにも美しいラストシーン。正直、作品の中でもトーンが完全に違っていて、もはや本編と分けて評価すべきという気もしているのだが、現実とフィクション、あの世とこの世の境目にある夢幻の境地に誘ってくれただけでも『SKY MISSION』の傑作認定は永遠に揺るがない。