(C)2019 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
ピクサーおすすめタイトル7選+傑作短編! CGアニメがもたらす温かさと感動、そして抜群のストーリーテリング!
2.『モンスターズ・インク』シリーズ(2作品)
『トイ・ストーリー』(95)、『バグズ・ライフ』(98)、『トイ・ストーリー2』(99)とジョン・ラセター監督作品が続いたピクサー。その次に放ったのが、この『モンスターズ・インク』(01)だ。
本作を手掛けたピート・ドクター(デヴィッド・シルヴァーマン、リー・アンクリッチと共同メガホン)は、『カールじいさんの空飛ぶ家』(09)『インサイド・ヘッド』(15)『ソウルフル・ワールド』も手掛けた名監督。「もし●●だったら?」という「if」の世界を描くスキルに長けており、『モンスターズ・インク』では「子どもを驚かせるモンスターたちが、会社の社員だったら?」という斬新なアイデアを、喜劇仕立てで描きつつ、モンスターと子どもの間に芽生える疑似親子的な関係が沁みる、“情のドラマ”に仕上げている。
古今東西のモンスターはなぜ、人間を驚かせてきたのだろう?という素朴な問いに、「子どもたちから出る恐怖のエネルギーを回収するため」という“解答”を提示する、鮮やかな手法が興味深い。主人公のコンビと人間の子どもの間に絆が生まれることで、両者の関係が見直されていくという流れも、優しさに満ちている。この作品のテーマは、今日の映画づくりにおける重要な要素である「多様性」の走りといえるかもしれない。
「擬人化」はディズニーの得意技だが、ピクサーにおいてもおもちゃや虫などに命を吹き込んできた。本作で「モンスター」を描き、その後『ファインディング・ニモ』(03)で「魚」、『カーズ』(06)で「車」、『ウォーリー』(08)で「ロボット」と移っていく過程も、俯瞰して見ていくと面白い。
『モンスターズ・インク』の前日譚となる『モンスターズ・ユニバーシティ』(13)では、主人公たちの学生時代が描かれる。こちらではより雰囲気が明るくなり、主人公のマイクとサリーがいかにして名コンビになっていたのかがわかる内容。ファンムービー的な雰囲気が強く、そういった意味ではピクサー作品の中ではやや異質かもしれない。