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ピクサーおすすめタイトル7選+傑作短編! CGアニメがもたらす温かさと感動、そして抜群のストーリーテリング!
番外編:短編作品
ここまではピクサーの長編映画について紹介してきたが、最後に短編作品についても言及したい。というのも、実はピクサーの短編は傑作の宝庫。ディズニーの配信サービス「Disney+」のスタートに伴い、動き出した新企画「SparkShorts」では、新たな才能の発掘を行っている。
まずはその「SparkShorts」にラインナップされた作品群から、いくつかをご紹介しよう。
『猫とピットブル』
野良猫がある日出会ったのは、飼い主に不当な扱いを受けている闘犬。ともに過ごすうち、2匹の間には絆が芽生え……。号泣必至のハートウォーミングな物語だが、動物の虐待というシリアスな描写も。「SparkShorts」が志向する「社会性」を感じられる逸品だ。
『心をつむいで』
超・男性社会の企業に入社した女性社員。意気揚々と乗り込むが、差別と偏見にさらされてしまう。四面楚歌の環境で、彼女はどう動くのか。女性を女性として描くのではなく、「毛玉」のキャラクターにすることで、寓話性を強化。9分弱の短編ながら、「男女平等」を鋭く問う骨太な作品。
『ループ』
自閉症の女子と活発な男子が、一緒にカヌーを漕ぐことに。岸に戻るためには、意思疎通を図らなければならない。少年は苦労を重ねながら、少女を理解しようと努める。「多様性」の精神にあふれた、“寄り添う”コミュニケーションの大切さを描いた1本。
『宙を舞う』
自分の息子が、他人とは違う個性を持っていると知った父親。周囲からの反応を恐れて、息子に「普通にしなさい」と諭すのだが……。制作者自らの実体験を活かし、「ありのままに生きる」ことを謳った1本。他人と異なる特徴を、スーパーパワーに変換して描いた演出が巧み。
『殻を破る』
同性愛者の男性が、両親へのカミングアウトに悩む姿を描いた短編。主人公が飼い犬と入れ替わる、というアニメ的な“遊び”を取り入れ、ファンタジックな手法で紡いでいる。LGBTQをメインにした作品はピクサーではまだ珍しく、新たな可能性を感じさせる。
このほかにも、長編の劇場公開時に発表された良作など、短編作品はまだまだある。傘同士の恋愛をロマンティックに描いた『ブルー・アンブレラ』、しゃべる中華まんを育てる女性を描く『bao』、映像美に心奪われる『ひな鳥の冒険』など……。長編作品とともに、お楽しみいただきたい。
文: SYO
1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」