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『戦場のメリークリスマス』(4K修復版)『愛のコリーダ』(修復版)の大規模上映を実現 大島渚プロダクション・大島新監督インタビュー【CINEMORE ACADEMY Vol.16】

『戦場のメリークリスマス』(4K修復版)『愛のコリーダ』(修復版)の大規模上映を実現 大島渚プロダクション・大島新監督インタビュー【CINEMORE ACADEMY Vol.16】

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大島渚の代表作『戦場のメリークリスマス』(83)と『愛のコリーダ』(76)が、映画史に屹立する傑作であることに、異論を挟む者はいないだろう。


『愛のコリーダ』は劇中で役者同士の性交を実際に撮影した、日本初のハードコアポルノ。撮影は日本で行ったが、検閲をくぐり抜けるため、フィルムをフランスに送って現像・編集を行い逆輸入するなど、製作手法も異例ずくめだった。


『戦場のメリークリスマス』はデヴィッド・ボウイ坂本龍一、ビートたけしという強烈なキャスティングで話題をさらい、そのミステリアスで深遠な内容が若い観客の心をつかんで、大島渚最大のヒット作となった。


同時期にこの2作を、修復された美麗な映像によってスクリーンで鑑賞できることは、コロナ禍にあえぐ日本映画界にとって、本年最大の事件である。


このリバイバルを実現したのは大島新氏。大島渚の次男であり、ドキュメンタリー作家でもある新氏は、今年、監督作『なぜ君は総理大臣になれないのか』(20)がキネマ旬報・文化映画部門第1位に選出。今最も注目すべきクリエイターでもある。


そんな大島新氏が、今回のリバイバルが実現した経緯、両作に寄せる思い、さらに大島渚の作家性と、父としての知られざる一面について語ってくれた。


Index


偶然から始まったリバイバル企画



Q:『戦場のメリークリスマス』『愛のコリーダ』の修復版が劇場のスクリーンで同時期に見られるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。今回のリバイバルが実現した経緯は、どういうものだったんでしょうか。


大島:今回配給を担当したアンプラグドの社長・加藤さんとは、そもそも別の仕事でご一緒していました。私がプロデューサーをつとめた『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』(20)というドキュメンタリー映画の、宣伝を担当してもらっていたんです。


当初、加藤さんは私が大島渚の息子だと、知らなかったんですが、ある時アンプラグドの方が、うち(※ドキュメンタリー制作会社・ネツゲン)のオフィスの看板に小さく「大島渚プロダクション」と併記してあるのを発見し、加藤さんに伝えたそうです。そこから、加藤さんと何度か話すうち、今回のような上映を提案して下さいました。


そして、これも偶然なんですが、大島渚の没後10年にあたる2023年頃に、国立映画アーカイブに作品を収蔵する予定もあったんです。「じゃあその前に、最後の大規模ロードショーをやりましょう」と。それで4K、2K修復をやってくださり、今回の形になりました。



『戦場のメリークリスマス』(4K修復版)『愛のコリーダ』(修復版)ポスター


Q:大島渚作品の中から、この2作を選んだのはなぜだったんですか。


大島:チラシのコピーにある通り、大島渚の最大のヒット作は間違いなく『戦場のメリークリスマス』で、最大の問題作は『愛のコリーダ』です。


大島には松竹時代の『青春残酷物語』(60)『 日本の夜と霧』(60)、ATG時代の『絞死刑』(68)『少年』(69)『儀式』(71)といった、時代ごとの代表作もあるんですが、世界にどれだけ広がり認知されたか、という映画のサイズ感で考えると、やはりこの2作は別格です。




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