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『とら男』村山和也監督 未解決事件のその後を、本物の元刑事主演で描く 【Director’s Interview Vol.242】

(C)「とら男」製作委員会

『とら男』村山和也監督 未解決事件のその後を、本物の元刑事主演で描く 【Director’s Interview Vol.242】

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演技経験のない主演俳優



Q:劇中の「とら男」がかや子と初めて出会うおでん屋のシーンがありますが、虎男さんは本当に酔っ払ってませんか?


村山:はい。あのシーンは本当に飲んでもらって、あの後の記憶がないって仰ってました(笑)。


Q:虎男さんを主演俳優として成立させる演出プランはありましたか?


村山:虎男さんに関してはセリフを決めてなくて、演出側として、シーンごとにこういうことを言いたい、最終的にはこういう話をして欲しいということは伝えるんです。でも虎男さんがなにか映画的なことができるわけじゃない。共演しているかや子役の加藤(才紀子)さんから引き出してもらった部分はすごくあります。加藤さんも自分の意見がすごくある人で、すごくいろいろ言ってくれるんですよ。それに助けられたりもしたし、あとは編集でうまく繋いだ部分も多々あるでしょうし。



『とら男』(C)「とら男」製作委員会


Q:カメラは同時に何台回したんでしょうか?


村山:基本的には2カメです。1カメのシーンもあるんですけど、おでん屋のシーンだと2カメで、同じことを4回くらいやってもらいました。まあ、同じには絶対にならないんですけど(笑)。レバノンの『存在のない子供たち』(18)という映画があって、貧しい地域の子どもたちを役者として使ってるんですが、あれも相当素材を撮ってると思うんです。この映画でも虎男さんの素材はなるべくたくさん撮りました。


ただ、どうしても使えない言い回しが入ったり、こっちの都合で編集で切ったところはありますね。もうちょっとワンカットで押してもいいよねって言った人もいたんですが、そこは素人俳優ゆえの限界だったりするかも知れない。そういう事情もあって、場面によってはカットを割りすぎているかも知れないです。


Q:おでん屋で「とら男」がメタセコイアという言葉を聞いた後に、ちょっと間があって喋りだすじゃないですか。それがワンカットで抜かれていて、演技としても完璧な間だと思いました。


村山:ああ、あの間は僕が指示したわけじゃないですね。あと、最後に犯人と対峙するシーンは、虎男さんが役者になったなって思いました。共演者のことを、本当に自分が犯人だと思っている人だと思って向かい合ってくださいと言ったら、あのかっこいい顔になったんです。


Q:虎男さんは、あのシーンで監督から笑うように指示されて、自分だったらまず頷くんじゃないかと思うと提案したと本に書かれていますね。


村山:僕がニヤリと笑うカットが欲しいとお願いしたんです。虎男さんから提案された演技も撮ったんですが、結局映画では笑う方を使っています。





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