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『ミクロの決死圏』60年代『2001年宇宙の旅』以前、群を抜くクオリティの傑作SF (前編)

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『ミクロの決死圏』60年代『2001年宇宙の旅』以前、群を抜くクオリティの傑作SF (前編)

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『ミクロの決死圏』の企画スタート



 『ミクロの決死圏』のシナリオは、エージェント兼プロデューサーだったオットー・クレメントと、SFテレビシリーズ『宇宙探検』(59~60)の脚本や、『ミステリー・ゾーン』中の名作として名高い、第3シーズン・第8話「こどもの世界」(61)の原作小説を書いていたジェローム・ビクスビイが、1965年に原案をまとめた。


 さらに、SF/ミステリー作家のデイヴィッド・ダンカンが潤色、『ブリット』(68)や『栄光のル・マン』(71)のハリー・クライナーが脚色している。


 プロデューサーは、『電撃フリントGO!GO作戦』(66)のソール・デイヴィッドだが、彼はこの企画に対し大きな賭けに出た。直接製作費512万ドル、総製作費1260万ドルという、当時のSF映画としては破格の予算(*1)で本作を作るというのである。


『海底2万マイル』予告


 監督はリチャード・フライシャーに決定した。カートゥーンシリーズの「ベティ・ブープ」の、プロデューサーだったマックス・フライシャーの息子で、後に『トラ・トラ・トラ!』(70)のアメリカ側監督になる人物だ。おそらく潜水艦による冒険を描いた『海底2万マイル』(54)の演出が決め手になったのだろう。


 彼は、精神科医を目指してブラウン大学の医学部を卒業しているが、医者になる道を断念し、イェール大学演劇大学院の演劇コースに進んだという経歴を持っている。医学の知識が、思わぬ所で役に立つ日が来たわけだ。


*1 ちなみに同時期のSF映画で比較すると、『禁断の惑星』(56)の直接製作費は190万ドル、『地球の危機』(61)は158万ドル、『地球は壊滅する』(65)は87万ドルである。




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