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『ミクロの決死圏』60年代『2001年宇宙の旅』以前、群を抜くクオリティの傑作SF (前編)

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『ミクロの決死圏』60年代『2001年宇宙の旅』以前、群を抜くクオリティの傑作SF (前編)

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大渦巻きと心臓の撮影



 次にアボットたちは、プロテウス号が動脈と静脈が癒着してできた穴に吸い込まれる場面に取り組む。特殊効果スタッフは大道具部屋を探し、昔の映画に使用された直径約2.4mのガラス製シャンパングラスを見付けてきた。チェスラーは、このグラスの内側にウォータージェットを取り付け、渦を発生させる仕掛けを作る。そしてその中に、ミニチュアのプロテウス号と油滴を入れて、真上から高速度撮影することにした。


 この時、カメラマンを務めたのはクルックシャンクで、彼は30cm幅の板に乗って撮影する。だが板の強度が不足しており、突然中央で折れてしまった。クルックシャンクは、もう少しでシャンパングラスに激突する所だったが、命綱を付けていたためギリギリ助かり、カメラも彼が片手で支えて水中への落下を免れた。


 静脈に入ってしまったプロテウス号は、目的地である脳とは逆の方向に進んで行き、このままでは心臓に入ってしまう。乗組員は計画の中止を求めるが、カーター将軍はベネシュ博士の心臓を60秒間停止させることで作戦を続行させ、プロテウス号はギリギリで肺動脈弁を通過する。


 右心室内部では、三尖弁腱索乳頭筋肉柱などが網状構造を作り、密林のように複雑になっている。実際の解剖写真と見比べてみれば分かるが、一見無秩序に見えるデザインもかなり正確なものだ。ヘネシーは、奥行き40m、高さ9mのフルスケールセットを作った。




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