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クリストファー・ノーラン監督作品まとめ 突き抜けた作家性とメガヒットを両立させる鬼才
7.『インセプション』(10) 148分
(c)2014 Warner Bros. Entertainment Inc.
『ダークナイト』で映画史を塗り替えたノーラン監督が次に放ったこの映画は、またも歴史を刷新する傑作となった。「他人の夢の中に入り込み、アイデアを盗む」という奇抜な設定と、それを納得させる大スケールの映像表現。『ダークナイト』では主にキャラクターの描写や精神、物語構造の面で革命を起こしたノーランだが、本作では主に映像面で、度肝を抜くシーンを連発している。
街や建物がせり上がるダイナミックなシークエンスや、眠った状態の人々が空中で浮遊するSFチックな構図、回転する部屋の中での決闘(実際にセットを回転しながら撮影したというから衝撃的だ)、雪山でのアクションシーンなど、ビジュアル面での“進化”がすさまじい。時間に対するアプローチはますます鋭さを増し、スローモーションを効果的に用いて、観客の体感時間を、作品のテンポに巧妙に合致させる。
脚本においても、『メメント』の正統進化系と呼べるほどに入り組んだ設計になっており、観客にとっても、あるいは主人公(レオナルド・ディカプリオ)にとっても、目の前に広がる光景が夢か現実か、説明されるまでわからない。観客のスリリングさを掻き立て、前のめりにさせる要因になっている。そこに『メメント』と同じく悲劇性を絡めてドラマ性を高めつつ、同時に、回避アイテムとして登場する「コマ」が全体を通してキーになる、というスマートな演出も仕込まれている。作品自体が、多層的な構造になっているのだ。
渡辺謙、キリアン・マーフィー、マイケル・ケインの『バットマン』組が再結集。本作に出演したジョセフ・ゴードン=レヴィット、トム・ハーディ、マリオン・コティヤールは、『ダークナイト ライジング』にも続けて参加。
もっと詳しく:『インセプション』夢と現実、精神探求と身体アクション。相反する要素を融合させたノーランの知的活劇
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