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クリストファー・ノーラン監督作品まとめ 突き抜けた作家性とメガヒットを両立させる鬼才
4.『バットマン ビギンズ』(05) 141分
独創的で知的なサスペンスで評価を得てきたノーラン監督の次回作が、スーパーヒーロー映画だったのは少々驚きだったのではないか。今でこそマーベル映画が、才能ある俊英監督を各地から抜擢しているが、ノーラン監督が歩んできたキャリアを見るに、年齢層がぐっと広がるスーパーヒーロー映画で作家性を発揮できるのか……という懸念は、少なからず人々の中にあったに違いない。しかし結果的に、ダークでシリアスなヒーロー像は時代を象徴するアイコンともなり、歴史的傑作『ダークナイト』(08)へとつながっていく。
本作に至るまでのバットマン映画の流れを簡単にさらうと、『バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲』(97)が失敗に終わり、スタジオは新作の製作に慎重になっていたという。その後ダーレン・アロノフスキー監督らが雇われたが、企画はとん挫。紆余曲折を経てノーラン監督によるリブート作品に落ち着いたそうだ。ティム・バートン監督版もダークな要素が多分に含まれており、「現実的でシリアスなトーンにする」はスタジオと作り手の共通理解だったようだ。
しかしてノーラン監督が生み出した新たなるバットマン映画は、権力者の息子が両親を殺されたトラウマと恐怖を克服し、亡き父が遺したゴッサム・シティを守ろうとするという成長ドラマであり、ある種の歴史劇的なつくりにも近い。これはその後の「バットマン・トリロジー」にも受け継がれていくが、文芸的なエッセンスが感じられるエレガントな雰囲気に仕上がっている。これは知性派の作品を作り続けてきた、ノーラン監督ゆえの功績だろう。ジェームズ・ニュートン・ハワード、ハンス・ジマーによる荘厳な音楽も、「品位」の構築に貢献している。
クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマンといった職人肌の演技派が結集。日本からも渡辺謙が参加している。ノーラン監督は本作の撮影前に『ブレードランナー』(82)をクルーたちに見せたというが、ルトガー・ハウアーも出演している。
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