あらすじ⑦
スタジオでタランスキーは、あきれながら「Echo」を読んでいた。そこに多数の電動カートに乗り、エレインら重役たちがやって来た。彼女は「宣伝のためには、どうしてもシモーヌの協力が必要なの!」と言い、タランスキーが制止するのも聞かず、強引にステージ内に乱入していく。エレインらは、セットもカメラも照明もなく、PCとモニターだけが置かれた殺風景なステージに驚愕する。
覚悟を決めたタランスキーは、「分かった、正直に言おう。彼女はコンピューター…」と一度は言いかけて、「コンピューター中毒なんだ。朝から晩までコンピューターから離れようとしない。おまけに彼女は広場恐怖症で、対人恐怖症でもあり、細菌やあらゆるものを恐れている」と、咄嗟の思い付きでその場を取り繕う。すると、エレインや重役たちはアッサリと信じてしまい、「だから会話はチャットなのか」と、これまでの異常事態を自分なりに解釈し納得してしまう。
タランスキーは、プロモーション活動についてはテレビにリモート出演させると提案し、スタジオの重役たちを納得させる。彼は、完成披露パーティーにおけるエレインの背後にシモーヌを立たせた合成写真を用意しており、それを彼女にプレゼントする。エレインもすっかりシモーヌのファンになっており、「君のことをとても美しいと言っていたよ」というタランスキーの言葉に素直に喜んだ。
そしてついに、テレビのトークショー「FRANK BRAND」(架空の番組)に生出演する時が来た。タランスキーは、膨大な数の背景ライブラリーからニューメキシコ州の砂漠地帯を選び出して、シモーヌと合成し、さらにマーカーレス・モーションキャプチャーで自分の動きを真似させる。司会者(スタンリー・アンダーソン)と回線が繋がると、タランスキーの声がシモーヌに変換される。
この映像はエレインの家族の他、「Echo」の編集部も注目していた。しかしメモリー不足で映像が乱れ始め、慌ててタランスキーは回線を切る。しかしその直前に、セイヤーが背景の場所がどこであるかを突き止めてしまった。彼は別れた奥さんと、新婚旅行で訪れた場所だというのだ。しかし翌日、彼とミルトンがその場所に行ってみると、シモーヌが座っていた場所の背景にはホテルが建っていた。
スタジオはシモーヌに続編や新作への出演を求め、世界規模のスターとして売り出す戦略が次々と立てられていく。そして、映画だけでなくCM・雑誌・音楽活動と、あらゆるメディアへ露出させようとする。タランスキーは内心途方に暮れながらも、コンピューターの前で彼女を演じ、それらの需要に応えていく。しかし、シモーヌがマスコミへ連発するタランスキーへの称賛に、エレインは嫉妬心を覚えるようにもなる。
シモーヌに支払われるギャラは、当然タランスキーのものであり、彼は豪華なヨットを購入して「シモーヌ号」と名付ける。そしてそのヨットを停泊させていると、セイヤーとミルトンが寄って来て、「FRANK BRAND」のスクリーンショットと、現在のニューメキシコ州の砂漠の写真を見せ、「これは捏造だろう」と迫る。
そして彼女の出た番組をすべて調べ、その出演料が全部タランスキーの口座だけに振り込まれていたことも突き止めていた。セイヤーは、タランスキーがシモーヌを拉致・監禁して洗脳したと疑っており、「証拠を警察に提出されたくないならシモーヌに会わせろ!」と迫る。