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『シモーヌ』生成AIを予見した驚くべき先見性(後編) ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『シモーヌ』生成AIを予見した驚くべき先見性(後編) ※注!ネタバレ含みます

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※本記事は物語の結末に触れているため、映画未見の方はご注意ください。


 アンドリュー・ニコル監督の『シモーヌ』(02)は劇場公開当時、ほとんど話題にもならず、作品的にも興行的にも失敗作と言われ、長い間忘れられた映画になっていた。しかし最近になって、劇中の描写が生成AIの仕組みと酷似していることが注目され、25年12月7日に米国で放送された「CBS Sunday Morning」にも大きく取り上げられた。まさにこの作品の先見性には驚愕するものがある。


前編はこちら


Index


あらすじ⑥



 タランスキーは、シモーヌの存在に信憑性を与えるため、現実世界に様々な痕跡を残していくことにした。まず高級ホテルへ行き、フロントで「特別な客、ミス・エノミスがチェックインする。私が裏口から案内するから、監視カメラはすべて切ってくれ」と、チップを弾んで依頼する。しかしコンシェルジュは、すぐにエノミス(ENOMIS)がシモーヌ(SIMONE)を逆から読んだ名前だと気付き、どこかに連絡した。


 超デラックス・スイートに入ったタランスキーは、ベッドを乱し、香水を振り撒き、用意してきた女性用下着をそれらしく配置し、金髪のカツラを切って髪を散乱させ、歯ブラシや石鹸を使用済みに見せる。さらにダメ押しとして、鏡に口紅で「愛してるわヴィクター」と書いてキスマークまで残す。


 そのころ、コンシェルジュが漏洩した情報をマスコミが聞きつけ、パパラッチたちがホテル周辺を取り囲んでいた。するとタランスキーは、バービー人形の影をカーテンに投影し、あたかも今シモーヌが泊まっているかのように装う。さらに堂々とマスコミの前に姿を現し、黒いゴミ袋を被せた女性とリムジンに乗り込む。


 その女性は、シモーヌの代役として雇ったフェイス(レベッカ・ローミン)だった。タランスキーは彼女に、「君のおかげでシモーヌは無事に逃げられた」と感謝を述べると、フェイスは「こんなに俳優を守ってくれる監督はいないわ」と言って感動する。


 タランスキーがフェイスを自宅に連れ込むと、彼女の方から積極的に関係を求めてくる。フェイスは、極端なまでシモーヌに憧れており、彼女と自分を同一視して欲しいと要求してくるのだ。その言動に驚愕したタランスキーは「この続きは、またの機会に」と言って拒絶する。


 一方あのコンシェルジュは、セイヤーたちをタランスキーが使った部屋に案内する。まだクリーニングはされておらず、痕跡はそのまま残されていた。セイヤーは、ミルトンとコンシェルジュを帰らせ、下着や石鹸を回収し、ベッドや便座、使用済み歯ブラシの感触を味わってエクスタシーにひたる。


 ついに『永遠の彼方』の完成披露試写が行われ、スタンディングオベーションが巻き起こる。その晩に行われたパーティーで、疲れ切ったタランスキーに浴びせられる称賛は、全てシモーヌに関することばかりで、誰一人として作品の内容には言及しない。酒に酔ったタランスキーは、ついに「シモーヌは存在しないんだ」と吐露するものの、誰も聞く耳を持たず、シモーヌに後ろ姿が似た女性を見付けて殺到していく。


 翌日、ゴシップ雑誌「Echo」の会議室では、セイヤーが「重要なパーティーにシモーヌが来ていたというのに、誰一人インタビューもコメントも写真1枚も撮れていないというのはどういうことだ! タランスキーの行動は、随時尾行しているにも関わらず、誰もシモーヌを目撃していない。衛星写真にすら写っていない!」と部下たちを怒鳴りつけていた。ミルトンは「ホテルから採取された下着や石鹸などからは、タランスキーの指紋が少しと、ボスのものが沢山見つかりました」と嘆く。


 そこでセイヤーは、でっち上げの記事を載せることを思い付く。次号の「Echo」の誌面には、「独占!! シモーヌ 知られざる過去」という見出しが躍り、彼女の幼少期の捏造写真が掲載されていた。





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