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『シモーヌ』生成AIを予見した驚くべき先見性(後編) ※注!ネタバレ含みます

(c)Photofest / Getty Images

『シモーヌ』生成AIを予見した驚くべき先見性(後編) ※注!ネタバレ含みます

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シモーヌのモデルと、実際にCGを手掛けたプロダクション



 シモーヌを演じているのは、ニコル監督の妻で、スーパーモデルのレイチェル・ロバーツだそうだ。


-生身のレイチェルが登場しているショットは、ほとんど無くて、大部分に何らかのエフェクトが加えられたそうですね? また彼女の声も、複数の女優の声を合成されたものだとか?


ニコル:まったく手を加えていないショットは、1つとしてありません。例えば、テイクの違うショットから眼だけを移植するなど、ほとんどマッドサイエンティスト状態でした。映画の中で、タランスキーがやっていたようなことを、実際に私が行なっていたんです。


-撮影中レイチェルは、アナ・グリーンと名乗らせていたそうですが、それはなぜですか? 


ニコル:彼女のアイデンティティを、クルーにすら知らせたくなかったので、アナモフィックレンズとグリーンスクリーンをもじって、コードネームにしました。実際、劇中のエピソードのようにステージを閉鎖して、クルーには「家族にすらしゃべってはいけない」という、秘密保持契約を結ばせました。でも結局そういうことは、プロモーションに繋がる訳で、ニューライン・シネマの方が、そういう作戦をとらせたという訳です。


-シモーヌのフルCGバージョンを作ったプロダクションに、フランスのBUF社(*5)を選んだ理由を教えて下さい。


ニコル:技術だけを考えたら、他のスタジオもたくさん良い会社がありますが、アーティスティックなセンスを考えて、あの会社を選びました。なぜなら、タランスキーは古風な人間で、彼にとって創作活動というものは絵画を描くようなことなのです。だから、芸術面に強いプロダクションを選ぶことで、タランスキーのキャラクターにマッチさせたかったのです。また今は、世界中どこにいても、情報のやりとりが可能だということもあります。私は、ずっとロサンゼルスで仕事をしていて、パリには1度も足を運びませんでした。


 BUF社は、強い個性を持ったCGプロダクションであり、「抽象的な概念を美しい映像で視覚化させてくれる」と、多くの監督から高い信頼を得ていた。本作で同社は、レイチェルをターンテーブルに乗せ、2方向よりモーションコントロール撮影したフィルムから、極めてリアルなCG映像を作り上げている。その出来は、当時の水準では驚くべきもので、どこで実写に置き換わったかはほとんど分からない。


*5 例えば『マトリックス リローデッド』(03)(https://buf.com/films/matrix-reloaded/)、『同レボリューションズ』(03)(https://buf.com/films/matrix-revolutions/)、『同レザレクションズ』(21)(https://buf.com/films/the-matrix-resurrections/)などの「この世界はプログラムで出来ている」という、シリーズのテーマを象徴する描写。『エンター・ザ・ボイド』(09)(https://buf.com/films/enter-the-void/)における主人公の魂が東京上空をさまよっていく長い描写。『アバター』(09)の人間がアバターに転生する精神移動トンネルと、エクステンデッド・エディションで描かれた地球の描写(https://buf.com/films/avatar/)。『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』(12)における、リチャード・パーカー(虎)とパイ(主人公)が同一であることを暗示させる“タイガー・ビジョン”(https://cinemore.jp/jp/erudition/843/article_874_p3.html)(https://buf.com/films/life-of-pi/)。科学ドキュメンタリー『コスモス:時空と宇宙』(14)と『コスモス:いくつもの世界』(20)における、天体描写や数々の幻想的な映像。『ブレードランナー2049』(17)(https://buf.com/films/blade-runner-2049/)に登場する、過去の有名人たちのホログラム映像などが挙げられる。とりわけ同社が活躍したのが『マイティ・ソー』(11)(https://buf.com/films/thor/)で、映画の大部分のVFXを担当した。





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