あらすじ⑩ ネタバレあり
タランスキーはハンクの墓前で、「もう彼女を止められない…。ハンク、どうすれば良い?」と独り言を呟く。すると並ぶ墓石を見ていて、何か思いつく。いつものステージに籠ったタランスキーは、シモーヌに別れを告げ、“8インチ・フロッピーディスク”(*10)に入ったウイルスソフトをPCに読み込ませる。するとシモーヌは、パーティクルとなって吹き散らされていった。
タランスキーは、ハードディスクを含めたストレージ一式を大きなトランクに詰めると、自分のヨットである「シモーヌ号」に乗って沖合いに出る。そして、「許してくれシモーヌ」と言って海に投げ捨ててしまう。
翌日タランスキーはスタジオで記者会見を開き、「あまりにもショックなことですが、シモーヌは亡くなりました。第三世界への慈善事業で珍しいウイルスに感染してしまったのです。あっという間でした」と語る。
シモーヌの棺は、ハリウッド・フォーエバー墓地に埋葬されることになった。しかしそこに刑事が現れ、棺を開けると中身はシモーヌの等身大パネルだった。刑事たちは、タランスキーを殺人容疑で逮捕する。
取り調べでは、秘書、ニコラ、セイヤーらが、タランスキーの容疑を固めるような証言を行い、刑事たちは彼の話をまったく信用しない。そして決定的証拠として、マリーナの監視カメラ映像を再生させてみる。そこには彼が、大きなトランクを運んでいる様子が映っていた。刑事たちは、タランスキーが証言した海域からトランクを回収するが、中身はカラだ。新聞には「シモ-ヌの遺体、サメの餌食に」という見出しが躍る。
タランスキーの弁護士は、彼の話をまったく聞き入れず、むしろ追い込んでいく一方だった。やがて精神錯乱状態になったタランスキーは「俺が殺った。計画的殺人だ。首を絞め、棍棒で殴り、火を付けてやった」と喚き散らすようになる。
そのころあのステージには、エレインとレイニーがいた。レイニーはウイルスが入ったフロッピーディスクを見付け、あっさりとシステムの復元に成功してしまう。そして、本日のロサンゼルス・タイムズを読むシモーヌの映像を作り、各放送局に送った。
容疑が晴れて解放されたタランスキーは、記者たちにもみくちゃにされながら、迎えに来たリムジンに乗る。中にはエレインとレイニーが乗っており、タランスキーはシモーヌを創ったことを詫びる。だがレイニーは、「私たちに黙っていたことが間違いだったわ」と答える。エレインは「すべての出演者がCGだけの映画を作るの。私たちで。あなたもシモーヌといっしょに、私の家に越してこない」と言う。タランスキーは、「忙しくなりそうだ」と答えた。
その後、再びニュースショーに出演しているシモーヌ。彼女を操作しているのはレイニーだ。そしてシモーヌは「今度は政治の世界を目指したいと考えているの。この子がそう決意させたのよ。私もヴィクターも、このチップのために世界の将来が心配なの」と赤ん坊を抱きながら答える。同じソファーの横には、タランスキーも座っている。カメラがパンすると、グリーンバックで一人演じるタランスキーの姿があった。
*10 筆者は、なぜ「8インチ・フロッピーディスク」という骨董品的なストレージを選んだのかについて、監督に質問している。すると「未来のメディアがどうなるかは、私には予想出来ません。だから確実に分かっていることとして、あえて8インチ・フロッピーを選んだのです。でもあのドライブは単なる小道具なので、実際に作動はしません。博物館行きのものです(笑)」という回答が返ってきた。しかし、ウイルスのソフトがかなり旧式であり、だからレイニーがあっさりと復元に成功してしまったとも解釈できる。